
ローカル PC に Ubuntu 26.04 をインストールしてから数日後、sudo apt update を実行するたびにこんなメッセージが表示されるようになりました。
Notice: リポジトリ 'https://dl.google.com/linux/chrome-stable/deb stable InRelease' が
アーキテクチャ 'i386' をサポートしないため設定ファイル 'main/binary-i386/Packages' の取得をスキップ
エラーではなく Notice なので、コマンド自体は問題なく完了します。 ただ、毎回表示されるのは気になります。 自分の設定が間違っているのかと思いましたが、調べてみると原因は自分のミスではありませんでした。
何が起きているのか
原因は、 Google Chrome のリポジトリ設定ファイルに Architectures(対応アーキテクチャ)の指定がないことです。
アーキテクチャとは
CPU の命令セットの種類のことです。 現代の PC はほぼすべて 64bit(amd64)ですが、古い 32bit(i386)の環境も過去には広く使われていました。
問題の構造
| 要因 | 状況 | |---|---| | Google Chrome | 現在は amd64(64bit)のみ提供。i386(32bit)は非対応 | | Ubuntu | 互換性のために i386 アーキテクチャが登録されていることがある | | apt | Chrome のリポジトリに i386 パッケージが存在しないと Notice を出す |
Chrome のインストーラーが生成するリポジトリ設定ファイルに「amd64 のみ対応」という指定が入っていないため、 apt が「i386 はどうするの?」と問い合わせにいってしまう状況です。
なぜ Ubuntu 26.04 で起きやすいのか
Ubuntu 26.04(Resolute)は 2026年4月にリリースされた最新版です。
新しい Ubuntu のリリースと、 Google 側のリポジトリ設定ファイルの更新タイミングがずれることで、この Notice が発生しやすくなっています。
具体的には、 Chrome のインストーラーが Architectures を指定しないまま .sources ファイルを生成してしまうことが原因です。
これは世界中の Ubuntu フォーラムや Reddit でも定期的に同じ質問が投稿される、よくあるトラブルです。 自分の設定ミスではありません。
解決手順
STEP 1:設定ファイルの場所を確認する
Google Chrome のリポジトリ設定ファイルが存在するか確認します。
bashls /etc/apt/sources.list.d/
出力例:
cursor.sources ubuntu-esm-apps.sources ubuntu.sources
google-chrome.sources ubuntu-esm-infra.sources
google-chrome.sources というファイルがあることを確認します。
⚠️ 古い環境では
google-chrome.listという拡張子の場合もあります。その場合の対処法は記事の末尾で解説しています。
STEP 2:現在のファイルの内容を確認する
bashcat /etc/apt/sources.list.d/google-chrome.sources
このような内容が表示されます。
### THIS FILE IS AUTOMATICALLY CONFIGURED ###
# Changes to this file will not be preserved.
# This file will not be recreated if removed.
X-Repolib-Name: Google Chrome
Types: deb
URIs: https://dl.google.com/linux/chrome-stable/deb/
Suites: stable
Components: main
Signed-By: /usr/share/keyrings/google-chrome.gpg
Architectures: の行が存在しないことが確認できます。これが Notice の原因です。
STEP 3:ファイルを編集して 1 行追記する
bashsudo nano /etc/apt/sources.list.d/google-chrome.sources
Components: main の下、 Signed-By: の上に以下の 1 行を追加します。
Architectures: amd64
編集後のファイル全体はこうなります。
### THIS FILE IS AUTOMATICALLY CONFIGURED ###
# Changes to this file will not be preserved.
# This file will not be recreated if removed.
X-Repolib-Name: Google Chrome
Types: deb
URIs: https://dl.google.com/linux/chrome-stable/deb/
Suites: stable
Components: main
Architectures: amd64
Signed-By: /usr/share/keyrings/google-chrome.gpg
Architectures: amd64 は「このリポジトリは amd64(64bit)のみ対応しています」と apt に明示するための指定です。
これを追記することで、apt が i386 のパッケージを探しにいかなくなります。
ファイルを保存して閉じます。
Ctrl + O→Enter(保存)Ctrl + X(終了)
STEP 4:動作確認
bashsudo apt update
Notice メッセージが表示されなくなれば完了です。
「自動設定ファイル」の注意書きについて
ファイルの先頭にこのような記述があります。
### THIS FILE IS AUTOMATICALLY CONFIGURED ###
# Changes to this file will not be preserved.
「このファイルは自動設定されるため、手動編集は保持されないことがある」という意味です。 一見、手動編集しても意味がないように見えます。
ただし、その 2 行下にこうも書かれています。
# This file will not be recreated if removed.
削除しても再生成はされない、ということです。 つまり Chrome が自動的にこのファイルを上書きする仕組みは現時点では存在しません。 実際に編集しても問題は起きませんでした。
ただし、 Google Chrome の大型アップデートが来た場合は念のため sudo apt update の出力を確認しておくのが安心です。
もし同じ Notice が再表示された場合は、同じ手順で Architectures: amd64 を追記するだけで対応できます。
.list 形式の場合の対処法
環境によっては google-chrome.sources ではなく google-chrome.list という拡張子のファイルが存在することがあります。
その場合は書き方が異なります。
bashsudo nano /etc/apt/sources.list.d/google-chrome.list
ファイルを開いて、 [signed-by=...] の中に arch=amd64 を追記します。
編集前:
deb [signed-by=/usr/share/keyrings/google-chrome.gpg] https://dl.google.com/linux/chrome/deb/ stable main
編集後:
deb [arch=amd64 signed-by=/usr/share/keyrings/google-chrome.gpg] https://dl.google.com/linux/chrome/deb/ stable main
保存後に sudo apt update を実行して確認します。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題 | sudo apt update 時に Google Chrome リポジトリの i386 Notice が出る |
| 原因 | Chrome のリポジトリ設定に Architectures の指定がない |
| 解決策 | google-chrome.sources に Architectures: amd64 を 1 行追記 |
| 自分のミスか | いいえ。 Google 側のリポジトリ設定が不完全なことが原因 |
やっていることは本当に 1 行追記するだけです。
「エラーではないから放置していた」という方も、数分で気持ちよく apt update できる環境に戻せます。
Ubuntu 26.04 は 2026年4月にリリースされたばかりで、まだ情報が少ない時期です。 同じ症状で悩んでいる方の参考になれば幸いです。





